山形市旅籠町にあるguraは土蔵と石蔵をリノベーションしたにぎわい拠点施設です。今年2月、guraに「eigyokudo Cafe 山形店」がオープン。全体工事は山形建設様が行い、店舗デザインをシェルターが担当させて頂きました。榮玉堂のカフェは仙台店に続き2店舗目となります。榮玉堂と言えば「どら焼き」のイメージですが、どら焼きは提供していないという山形店。おすすめのメニューやお店づくりについて、店長の小林様にお聞きしました。
仙台店の記事はこちら▼
おすすめのメニューについて教えてください!
クロワッサンとチーズケーキです。
本店、仙台店と違い「どら焼きを出さない」という新しい挑戦をしました。周りに市役所や銀行などがある立地なので、「会社員の方が立ち寄ってコーヒーと何かで軽食を取れたらいいよね」という話が社長からあったんです。店舗が石蔵だったので「自然なまま」というのをキーワードに、焼いたものをそのままお出しして食べてほしいと思ったことから、クロワッサンがおもしろそうだと思い一から始めてみました。もとの建物に海外っぽい雰囲気があって「ここでどういうものを食べたらお客様にとって特別な時間になるかな?」というのを考えていたので、クロワッサンという選択は結果的に良かったなと思っています。
チーズケーキは自分が好きなお菓子で、仙台店でも提供していました。高校生のころからたまにつくっていて、その時はベイクドチーズケーキだったんですが、少し前にバスクチーズケーキが流行りましたよね。あれだともっととろっとしている、ただ、とろとろすぎてもチーズのコクが出づらい。そこで普通の丸い型ではなくパウンドケーキの型で焼いて、周りの部分にはしっかり火を入れ、真ん中だけバスクチーズケーキ寄りの焼き方にすることで、ベイクドとバスクの間を狙ったようなケーキにしました。こうすることで、年配の人にも若い人にも、いろんな方に愛されるお菓子になったんじゃないかなと思います。
塩チーズケーキ(¥450)。中だけがとろーりとした不思議な食感。チーズケーキはチョコや抹茶味、あんこ入りの「あんチーズ」もあります。
カフェラテ、抹茶ラテ(¥500、テイクアウト¥480)。おいしいのはもちろん、見た目も美しいラテアート。
店舗デザインについて教えてください!
新しい店舗について、社長とはその土地に昔からあるもの、そこにしかない物件でやりたいなと、山形でやるなら「蔵」だよねと、そういう話はずっとしていたんです。他の場所も検討していたのですがうまく進まず、そのあとにポンとこの場所(gura)の話を頂いて、そこからはすごいスピードで話が進んでいきました。店舗デザインについては、最初は仙台店のように社長と眞木さん(シェルター設計士)にデザインを考えて頂いていましたが、その案が思ったより仙台店に近いものだったんです。この店舗は本店、仙台店とはまるっきり違うスタイルにしたいなと僕自身は思っていました。山形店でしか食べられないものがあって、仙台店に行ったことがあるお客様からも「仙台店とは全く違うお店だよね」と言ってもらえるのが面白いだろうと。
社長から「眞木さんと二人で決めていいよ」言ってもらい、自分の考えを話してデザインを改めて決めていきました。仙台店は白と明るい木の色を使ったお店なので、今回は黒を使いたかったんですが、ちょっと暗くなりすぎるのでグレーを基調にしました。仙台店ほどは木を使わないスタイルで進めましたが、木が全くないと年配の方とかは近寄りがたいよねという話もあって、木の色は暗めにして、ルーバーだけは仙台店と同じようにして頂いたんです。それが、もとからあった天井のデザインとも丁度かみ合って、これは眞木さんとやるための物件だったんじゃないかなと思いましたね。
石蔵の雰囲気に合わせた、落ち着いた色のルーバーやグレーのカウンター。
工事中に印象に残ったことはありますか?
工事中も経験豊富な眞木さんに色々提案してもらったのが良かったです。もともとの物件の柱が結構目立っていて、カウンター側の柱と壁がどうつながるか気になっていたのですが、元の柱を覆って塗装する提案をして頂いて、これをしたことでカウンターの広がりが出ましたね。壁とのつながりがないとたぶんここまで広く感じなかったと思います。
カウンターの左官塗りは最初から予定していましたが、カウンターの後ろの壁は予定していなかったんです。これも工事をしている中で、壁が思ったよりもツヤッとしていて、もとの壁のゴツゴツした石の質感と合っていないかもしれないと不安になったんですが、眞木さんから「ここも左官仕上げにしてみますか?」と提案していただきました。コンセントなどもお客様から見えないように配慮して頂いたり、工事しながらどんどんいい方向に進めていってくださったという印象がとても強いですね。正直最初は完成のイメージがなかなか見えてこなかったんですけど、いろんな提案をしてくださったり、イメージを膨らませてくださったので、当初想像していたよりすばらしいものに仕上がり感動しました。
左官仕上げの壁とカウンター。既存の柱にグレーの覆いをつけることで主張しすぎず、周りと調和しています。
これからどんなお店にしていきたいですか?
本店のどら焼きは毎日出来立てをお出ししているので、朝早くからたくさん作っておいてもお昼には完売してしまう日もあります。そこで山形店のチーズケーキのテイクアウトは冷凍にして、ストックを置いておけるようにしているんです。本店がたくさんの方に愛して頂いているので、もしもどら焼きを買えなくても、こちらでチーズケーキを買って帰ったり、クロワッサンを食べてもらったりして満足して頂ける、そういったお店にしたいなと思っています。今はオープンしたばかりなので完売してしまう商品もあるんですが、人を増やしたりして完売しないようにしていき、本店と一緒にいつでも楽しんでもらえる場所にしたいです。
あとは、山形の魅力を発信できる場にもしたいですね。去年の8月頃からインスタグラムをやっているんですが、山形の魅力を全国の人に知ってもらうためには広告力をつけないといけないという課題が自分の中にありました。そこで自分の秘密にしておきたかった部分、レシピを公開するというのをやったんです。レシピはすごく時間をかけて作っているので、それを一からのせるというのは最初は抵抗があったんですけど、アカウントをたくさんの人に知ってもらうことで、山形の魅力を日常的に発信できるんじゃないかなと思っています。この店舗を通して、山形にあるたくさんのすばらしいものを自分なりに発信していくことが大きな目標です。guraがたくさんの人が日常的に使うスペースになれば街の活性化にもつながるので、街なかににぎわいを生み出していけたらいいですね。
小林様、ありがとうございました!
Data
- eigyokudo Cafe 山形店
- 山形市旅籠町2-1-41
- TEL.023-664-2378
- 営業時間【販売】9:00〜18:00【カフェ】10:00〜17:00(16:30 ラストオーダー)
- 定休日 月曜日、火曜日
- Instagram @eigyokudocafe